市民スポーツ祭
最後の浜松支部での公式戦となる「市民スポーツ祭」が開催された。
予報から天気の心配がされていたが、当日の天気は問題なし。
雨のかけらもない天気となった。
対するは、浜松浅間スポーツ少年団。
西部リーグで親しみの深い相手である。
仲が良いとはいえ、公式戦であるこの試合には、お互いの手加減はなし。
浜松ヤンキースが後攻で試合は開始となった。
立ち上がり、先発投手がフォアボールで出塁を許すも、牽制アウト。
そして、キャッチャーの盗塁阻止で、結果3人で切って取る。
フォアボールで悪い流れになりそうな所での、このプレー。
いいテンポを作り出す。
こちらの攻撃も精彩を欠き、ポンポンと試合が進んでいく。
守備のほうでも投手のリズムがよく、またセンターの好守も光り、出塁を許さない。
試合が動いたのは3回。
ツーアウトからの9番打者の当たり。サードゴロではあったが、相手の暴投で出塁する。
続く1番打者。持ち前の俊足が生きる。
サードゴロではあったが、その当たりで彼をアウトに出来る奴はいない。
彼がファーストを駆け抜け、ボールがファーストに行った間に、二塁にいたランナーがホームを狙う。
それが相手の焦りからくる暴投をよび、先制点をもぎ取る。
タイミングはアウトの走塁ではあるが、一つ前を狙う姿勢としてはよい。
そして、2番打者の打球がライト前にフワフワっとあがり、そのままいい所に落ちる。
その間に走者生還、追加点となる。
クリーンなヒットはなかったものの2点。流れを引き寄せている証拠だ。
そして4回の攻撃。
先頭の10番フォアボールで出塁、足を生かし、簡単に2塁を奪い取る。
そして、5番打者。
彼に出されたサインはバント。重要な一手を任される。
カウント1-1からの三球目、きっちりとバントを決めた。
その瞬間である。
2塁ランナーの10番が野手が一塁に投げるのを見るや、ホームを狙った。
ホームイン。
タイミングは際どい所であったが、素晴らしい滑り込みだった。
彼は迷いもなく最初から狙ってスタートを切っていた…ホームを狙って。
そして、きっちりとバントを決めた5番打者。
この1点は彼らが狙っていた1点。やる事をやれたからこそ取れた1点である。
この1点の意味は大きい。
そして6回の守備。
ワンアウトを取るも、3番にスリーベース、4番にヒットを打たれ、一点を失う。
ここまで、投げ抜いて来た先発投手の踏ん張り所である。
次の5番を内野ゴロに打ち取るも、ファーストが取れずに出塁を許す。
悪い流れになりそうな状況での、ワンアウト、1、2塁。
ここで切らないと大量失点に繋がってしまう。
そして迎えた6番打者。
その5球目。バットが捉えた打球はサード方向へ。
三塁の手前でその打球を捕ったサード。
とにかく一つのアウトを、と思った周囲の予想は覆される。
捕球したサードは、すぐさま三塁を目指し、ベースを踏みホースアウト。
そこからの彼は違った。
彼は素早い動きで一塁へと送球した。
その送球はファーストのグローブの中へ収まった。
ダブルプレー。
そう…彼は狙っていたのだ。
自分の所に飛んできた打球でダブルプレーを取ることを…。
そこに迷いはなかった。
サードの好守により、この回の流れを断ち切った。
その6回の裏の攻撃。
学年下のサードの好守に答えるように、10番がヒットを放つ。
盗塁を決め、続く5番。
先程の4回と同じ状況が訪れた。
サインはバント。
そしてその4球目、彼はきっちりとバントを決めた。
今回はホームインは出来なかったものの、5番の「役割を果たす」という意味では、彼がこの試合、一番きっちり出来ていたのではないだろうか。
そして、次の打者が倒れ、ツーアウト、3塁。
7番打者の所で、キャッチャーがパスボール。
3塁ランナーがホームを奪おうと突っ込んだ。
そしてクロスプレー。
キャッチャーが落球したのにも関わらず、判定はアウト。
その判定は覆らず、最終回へ突入となった。
最終回の守備。
先発投手が先頭打者にデットボールを与えてしまう。
前の回から握力低下が見られていた投手のデッドボール。
ベンチが動いた。
ピッチャーとキャッチャーを入れ替え、最終回を抑えにかかる。
次の8番打者、完全に打ち取った辺りは、ファーストの後方2メートル。
単なるファーストフライだったが、ファーストが動かず、出塁を許す。
ノーアウト1、2塁。
悪い流れになりかけたところで、続く1番がショート正面、アウト。
そして2番打者のうち損じたサードファールフライ。
サードの懸命なプレーによりフライアウトとなる。
迎えた2番打者の当たり。
一塁ゴロ、ゲームセット・・・
のはずが、ファーストがファンブルし、ツーアウト満塁となってしまう。
そして迎えるは、先程スリーベースを打たれた3番打者。
点差は2点。一打逆転のピンチとなる。
そして、カウントは3ボール2ストライク。
走者一斉スタートの状況となった。
点差は2点。長打が抜ければ、3点は確定、逆転される。
緊張が走る中、ピッチャーが投じた6球目。
バッターが捕らえた打球はレフト方向へと飛んで行った。
決していい当たりではない、レフト正面へ上がるフライ的な当たり。
捕ればゲームセット、落とせば逆転、長い滞空時間の打球が空を舞う。
全ての人が見守った、その打球の先を。
頼む・・・
その願いを込めて。
そしてその願いは叶えられた。
打球はレフトのグローブに収まった。
ゲームセット。
大切な一勝を手に入れた。
彼らにとって、彼らを見守る全ての人にとって、大きな一勝。
やることが出来れば負けない。
それを感じて欲しい。
袋井大会での中泉戦で見せた、あの空気。
そして、今回の経験。
これはいろんな意味で、君達の糧になる。
最後まで走り続けよう。
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写真がないため、長文になりました。すいません。